ブランド誕生ストーリー
「治療なんだから、仕方ない」 その一言に、
私は1ミリも納得できなかった。

■ 奪われた「主導権」への違和感
私は、50歳でステージ4の乳がんに罹患し、人生の主導権が突然「治療」へと移っていくように感じていました。自分の都合や好みよりも、検査の都合、治療の効率。
家族や友人にそのモヤモヤを漏らせば、「病気なんだから、今は仕方ないよ」と優しく諭される。
わかっています。でも、その「仕方ない」という空気感に、私は自分らしさを少しずつ諦めることを強要されているように感じていました。
マーケターとしての本能。「なぜ、みんな黙って受け入れているの?」
自分自身が患者となり、治療のなかで私が驚いたことの一つに「選択肢のなさ」があります。世の中にはモノがあふれていて、服ひとつ、携帯カバーひとつにしても色も形も何十・何百と種類があるのに、患者を助けるもの、に関しては機能を満たすためだけ、「あるだけでありがたい」という空気。
点滴のたびに袖を無理やりまくり上げ、中の服が突っかかる地味なストレスを、誰もが「治療中だから」と黙って受け入れている。
これまで、様々な企業やブランドの課題解決に向き合ってきたマーケターの私にとって、それは異様な光景でした。
「なんで、こんな不便が当たり前になっているんだろう?」 「こうすれば、もっと良くなるのに。」
そんな思考が巡るのは、私にとって極めて自然な流れでした。不便を放置せず、最適解を形にする。そのマインドが、私をこのパーカー作りへと駆り立てたのです。
どちらかを選ぶんじゃなくて、どちらもあっていい。
私はアパレル業界の人間ではありません。洋服を作るのは、今回が初めてです。 でも、初めてだからこそ、自分の「欲しい」だけを詰め込み、腕の出しやすさはもちろん、そして何より、病院を出てそのままカフェに立ち寄れる「普通にお洒落」感を目指しました。
ブランド名の ANDEITHER は、"つながり"を意味するANDと、"どちらか"を意味するEITHERを組み合わせた造語です。
「どちらかじゃなくていい」という想いを込めています。
機能か、デザインか。
治療用か、普段着か。
病気の時か、健やかな時か。
どちらかを選ぶんじゃなくて、どちらもあっていい。
小さな格闘をなくし、快適にすごすためのささやかな相棒
ANDEITHERが届けたいのは、治療のための服ではありません。自分のままで、自分を生きるための服です。
病院の椅子に座っている時も、診察を終えて街を歩く時も。 我慢しなくてもいい小さな不便から解放され、あなたがあなたらしくあり続けるために、袖を通していただければ嬉しいです。

ABOUT: 尾澤恭子
マーケターとして20年以上、企業の価値創造に従事。乳がん発症後、自身の治療経験を通じ、放置された患者の不便に直面する。課題解決を本業としてきた経験から、アパレル未経験ながら理想を注ぎ込んだ「ANDEITHER」を始動。論理的な分析と当事者としての執念を融合させ、治療中も自分らしさを諦めない、機能と美学が共存する新しいケアアパレルの形を提案している。
